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エクストリームの井戸直樹社長
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エクストリームネットワークス株式会社(以下、エクストリーム)は2月16日、記者向けの説明会を開催。プラグ&プレイをネットワークで実現する「Universal Port」機能などを説明し、自社のスイッチ向けOS「Extreme XOS」の機能をアピールした。
XOSは、米Extreme Networks(以下、Extreme)が自社製品で利用しているモジュラー型OS。モノリシック型のOSと異なり、独立したメモリ空間でそれぞれの機能が実行されるため、万一、1つのプロセスに障害が発生しても、ほかのプロセスには影響を与えないという特徴がある。また、機能を追加する場合でもモジュラー単位で行え、スイッチ全体の動作を止める必要はない。
同社ではそのXOSを、ハイエンドのコアスイッチから投入。現在では、エッジレベルの製品にまで導入を拡大している。ルータでは、Ciscoがハイエンド製品で採用している「IOS-XR」や、Juniper Networksの「JUNOS」、Riverstone Networksの「ROS-X」といったモジュラーOSが登場しているが、Extremeのように比較的低価格のスイッチにまで利用しているケースは珍しい。
昨年12月にリリースされた最新版「11.6」では、「今までのスイッチ用OS(ExtemeWare)が持っている機能はすべてポーティングを終えた」(エクストリームの井戸直樹社長)とのことで、既存顧客のサポートについても、新OSで問題なく行えるようになったという点を報告。今後は、ローエンド製品を含めて新製品をすべてXOSベースでリリースする予定とした。
そのXOSが、モジュラー構造以外の競合優位点として持っているものの1つに、“プログラマブルなOS”であることが挙げられるという。井戸社長は、「スクリプトによって、さまざまなアプリケーションをサポートできる。例えば、スイッチを時間で制御して、業務が終わる21時になったら無線LANの電波を止め、始業前に復帰させる、といった使い方が可能。またさらに細かい制御が必要であれば、XMLベースのアプリケーションをスイッチの中に埋め込める」と話した。
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説明会では、製品を用いたUniversal Port機能のデモも行われた
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そしてこの代表的な例として、Universal Port機能を説明した。XOS 16.1から実装されたこの機能を一言でいうと、「PCでいうところのUSBのような機能性を、ネットワークに提供するもの」(Extremeのソリューションマーケティング担当ディレクター、クレイグ・アダムス氏)になる。
通常、ネットワークに機器を追加する場合には、たくさんの設定を変更する必要がある。例えばIP電話を新しくネットワークへ追加する際には、自身のIPアドレスやコールサーバー情報などの設定に加えて、QoS、VLANなどの設定も行わなければならない。ところがUniversal Port機能を利用すると、デバイスを自動で認識して802.1X認証を行い、その後設定も自動的にIP電話機へ流し込んでくれる。
さらにこの機能では、ユーザーを識別することも可能だ。例えば、マーケティング部へ打ち合わせに来たエンジニアが、マーケティング部のスイッチからネットワークへ入った場合でも、スイッチはユーザーグループへマッピングされたポリシーを自動的に適用する。このためエンジニアは、通常アクセスできるサーバーなどのリソースを同じように利用できるし、マーケティング部からの利用だったとしても、マーケティング部のリソースにはアクセスできない。こうした機能を通じて、管理者の負担を相当軽減できるという。
井戸社長は、こうした機能があくまでもオープンに提供されている点も強調する。Universal Portで情報のやりとりに利用しているプロトコルは、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)、LLDP-MED(Media Endpoint Discovery)といった標準ベースのもの。すでに、IP電話は米Avayaの製品と連携ができるようになっている。井戸社長は、「こうした連携を増やしていきたい」と語り、オープンなインターフェイスを前提に、パートナーとのエコシステムによってソリューションを拡充したい考えを示した。
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Extremeのマーク・カネパCEO
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なおこの説明会には、ExtremeのCEOに就任後、初の来日となるマーク・カネパ氏も出席。「パケットを可視化して得た情報によって、ネットワークを流すデータに優先順位をつけたり、脅威に対処するための情報を得たりして、ネットワークをきちんと管理できるようにする。これが当社のユニークな点だ」と、同社のビジョンである「Insight and Control」を解説した。
加えて、「ネットワークベンダには、安価でシンプルな汎用製品を扱う道と、1社の独自技術ですべてを解決しようとする道があるが、全社では複雑な環境を解決できないし、後者では選択肢を狭めることによってコストが高くつくなど、どちらにも問題がある。当社では、顧客はイノベーションの利益を受けていく権利があり、またマルチベンダが使える環境が重要だとも考えている」と主張。両者の中間的な、先進技術を盛り込みながらも「オープンなプラットフォームとして提供する」(同CEO)という戦略により、顧客にメリットを提供していく考えを示している。
■ URL
エクストリームネットワークス株式会社
http://www.extremenetworks.co.jp/
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( 石井 一志 )
2007/02/16 17:53
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